より開かれた大学づくりに向けた「大学評価」を考えるための必読書!
シリーズ「大学評価を考える」第4巻

『PDCAサイクル3つの誤読−サイクル過程でないコミュニケーション過程による評価活動の提案に向けて−』

編集:シリーズ「大学評価を考える」編集委員会

発行:大学評価学会 発売:晃洋書房

全国店頭価格:1000円(税別)

 本書は、現在、大学で進行しているPDCAサイクルをめぐって、そこでの3つの誤読を論じている。第一は大学と企業における質の違い(教育過程とものづくり過程の質の違い)における誤読であり、第二は企業経営におけるものづくりにおけるPDCAサイクルの本質理解における誤読であり、第三はPDCAサイクルに組み込まれている目標管理の概念理解における誤読である。これらの誤読によって、大学改革・大学評価において安易なPDCAサイクルの導入がなされ、議論もないままに当然のごとく大学・大学人が受容することになってしまっている。この3つの誤読から脱却し、新たな評価活動の具体的なあり方の提案を行う必要がある。それは一言で表現するならばサイクル過程からコミュニケーション過程への転換である。
 このためにも、まずPDCAサイクルおよびそれに組み込まれた目標管理の誤読から生まれる現状認識とそこでの混乱を正し整理する必要がある。用語、概念は正しく使用されるべきである。そうでなければ、議論は徒労に終わり、また無用な混乱をもたらすことになってしまう。さらには自分たちの置かれている立場・状況が見えなくなってもしまう。大学改革・大学評価におけるPDCAサイクルの実際の導入・進行を目の当たりにし、この感を強くもたざるを得ない。本書が大学改革・大学評価におけるPDCAサイクル導入の是非をめぐる議論のきっかけとなれば幸いである。

目 次

はじめに

序章  3つの誤読の背景

第1章 大学の質とモノの質の誤読
      ―PDCAサイクルを回すほど大学は方向性を見失う―

第2章 品質管理としての成立過程の誤読
      ―デミング曰く“PDCAサイクルは私が述べたものではない”―

第3章 目標管理の誤読
      ―ドラッカーはボトムアップのために目標管理を提唱した―

終章  対話・了解型評価活動の提案に向けて
      ―「サイクル」から「コミュニケーション」へ―

<執筆者紹介>
重本直利:龍谷大学・経営学部教授(経営組織論、社会経営学):序章、第3章、終章執筆
日永龍彦:山梨大学・大学教育研究開発センター教授(高等教育論、学校評価論):第1章執筆
由井 浩:龍谷大学・経営学部教授(品質管理、生産管理論):第2章執筆

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