大学評価学会誌、『現代社会と大学評価』(創刊号)
University Evaluation and Today

◇◇創刊の辞◇◇

 大学評価学会は、2004年3月28日、京都において設立されました。くしくも第三者評価(認証評価)が法的に義務づけられた4月1日の直前のことでした。設立大会の模様は、先に刊行された『21世紀の教育・研究と大学評価―もう一つの大学評価宣言―』(シリーズ「大学評価を考える」第1巻)に収められていますが、この1年の大学評価学会の歩みは設立大会の熱い雰囲気を継承・発展させるものであったように思います。
 学会代表の一人である田中昌人は、学会の設立準備段階から、「学会としてのジャーナルを持たなければならない」「学問的な探究の成果を公表しなければならない」と繰り返し強調してきました。学会運営委員会でもさっそく編集委員会を設置し、創刊号の刊行に向けての準備を進めてきました。それは、決して順風満帆と言えるものではありませんでしたが、ここにようやく学会誌『現代社会と大学評価』を創刊する運びとなりました。事務局をはじめとする皆さんの努力に深く感謝し、敬意を表したいと思います。
 創刊号には、2つの講演と論文6編、大学時評2編を掲載しております。講演は、2004年9月11日に開催した「秋の研究集会」におけるものです。論文と大学時評は、月例研究会における報告のいくつかを文章化したものです。これらを一読されれば、大学評価は決して一元的な価値視点から行われるべきものではないことを理解していただけるでしょう。大学評価は、狭く限定的に議論されるべきものではなく、今日の大学のあり方を根源的に問い、また、国際的な視点から大学を捉える、そのようなものとして多くの人々によって多面的に議論される必要があります。そのような意味で、本誌は大学評価に関する他の研究誌とは一味違った特色を読者とともに醸成していければと考えています。
 創刊号には他にも、会員による「大学評価学会に期待する」の投稿、『21世紀の教育・研究と大学評価―もう一つの大学評価宣言―』の書評、大学評価に関する文献の解題を掲載しています。これらからも、大学評価学会が探究しようとしている大学評価研究の課題の広がりと奥深さが窺えるでしょう。今後も、多彩で豊富な内容になるよう、会員諸氏の積極的な御投稿を期待しています。
 最後に、シリーズ「大学評価を考える」と同様に、本誌『現代社会と大学評価』の発売元をお引き受けいただいた晃洋書房に深く感謝申し上げます。

2005年3月

『現代社会と大学評価』編集委員会


◇◇目  次◇◇

創刊の辞……………… A

特集 「大学評価」を評価する
 法人化の影ひたひたと……                   池内  了 ………  1
 どんな大学評価が大学をのばすのか
  ―大学評価をめぐる状況と課題について―        蔵原 清人 ……… 20

論文
 評価と配分の哲学
  ―大学評価を誤らないために―               碓井 敏正 ……… 59
 国立大学法人化と評価問題                   細井 克彦 ……… 77
 フランスにおける大学評価 
  ―CNE(全国大学評価委員会)の役割をめぐって―   岡山 茂……… 95
 米国の薬剤師教育における評価・認定制度の現状から
  日本の認証評価制度のあり方を考える            小山 由美 ……… 120
 アカデミック・ハラスメントの実態調査研究
  ―大学および大学教員に対するアンケート調査結果から見えるもの―
                                     御輿 久美子・赤松 万里 ……… 165
 人権と大学評価
   ―非常勤講師問題を中心に―                塚田 亮太 ……… 183

大学時評
 学生の自主性が育つ                        福田  菊 ……… 200
 改革のための改革が変質させる大学
 ―横浜市立大学「改革」の現状と問題―            中西 新太郎 ……… 208

大学評価学会に期待する                             ………217

書評
 シリーズ「大学評価を考える」第1巻
『21世紀の教育・研究と大学評価−もう一つの大学評価宣言−』
(大学評価学会、晃洋書房、2005年)               望月 太郎 ……… 221

文献解題                                       ……… 227

 

◇◇学会事務局から◇◇

『現代社会と大学評価』は、大学評価学会第2回全国大会(3月26〜27日、於:駒澤大学(駒沢キャンパス))の会場で取り扱いします。
なお、店頭扱い(発売:晃洋書房)は4月中旬頃からの予定です。
大学評価学会第2回全国大会の参加申し込みは引き続き受け付けています。
当日参加も受付いたしますが、準備の都合がありますので、できるだけ事前の参加申し込みにご協力下さい。

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